小鹿太郎の日記

パワハラによる休職中のこととか、あんなこととかこんなこととか。

明るくてきれいなもの

父は今朝、買い物がてら私の顔でも見ようと私の職場へ行き、そこでついに、私が長期休職してることを知ってしまったそうだ。

お互い、便りのないのは良い便り、とばかりに連絡を取り合わない母から電話がかかってきて、「あんた、ずっと仕事、行ってないんだって?」と、もしもし、も言わない内から切り出された。

 

突然だが私の家は貧しい。下の中、といったところだ。

私が自立して一人暮らしを始めるときに、真っ直ぐな眼差しで父から言われたことはこれだけだ。

 

「お父さんは、お前になにもしてやれることはないから。頑張りなさい」

 

わかってる。だから、一人立ちしてから今までずっと、誰にも頼らずに一人で頑張ってきたのだ。

 

「大丈夫。借金もしてないし、手当もあるから。仕事も探すし、一人で頑張るから、何もしなくていい。迷惑かけるようなことは一切しないから、だから、心配もしないで。母さんたちには遠くで健康でいてくれれば、それでいいから」

電話を受けている間、私はそれらの言葉を、オウムのように繰り返した。

クソ上司のことと病気のことを言ったら、余計に心配するだろうから、そこは伏せたくて、そうすると、こうしか言いようがなかったのだ。

 

母は「気付いてあげなくてごめん、知ったのに、何もしてあげられなくてごめん」と、泣いていた。

 

・・・だから、連絡しなかったのにな。

 

田舎住まいで、地位も財力も知性も持ち合わせてはいない私の両親に連絡しても、何の助けにはならないから。私の側で、ただ、おろおろして、おいおい泣いて、「どうすんの?これからどうすんのあんた?」って、追い詰められるだけだから、さ。

 

蒼空をすうっと伸びてゆく飛行機雲とか、楽しそうな笑い声がする民家の軒先で咲く花とか、そういう、明るくてきれいなものばかり、にこにこと見つめて生きていきたかったんだけど、やっぱり、人生って苦しいね。

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